裏返し空間の概念図
0-3. 裏返し空間の内部
裏返し空間内では観測者を中心にして、全天を真っ暗で絶対零度の事象の地平面が覆います。そしてその中の落下物は全て観測者から遠ざかる方向に落下していきます。これは観測者から見てすべての方向が中心核の方向になるという空間構造のためです。そのため遠方になるほど重力ポテンシャルの差(本論では時間速度比)が大きくなり赤方偏移が大きくなります。そして事象の地平面の所で赤方偏移無限大、時間速度ゼロになります。つまりハッブルの法則の正体はこれだと私は主張しています。
この空間内での重力勾配は比較的近距離では距離にほぼ比例であり、単純なハッブルの法則が成り立ちます。しかし遠距離になるほど重力場の性質で単純比例から離れます。更に距離が離れるほど時間速度の差が影響したり、更には中心核の重力場に対し落下途中の天体の質量も次第に影響力を強めます。これらが相まってハッブルの法則から予想される結果にずれが生じます。「宇宙の加速膨張」などと言われている「観測結果のハッブルの法則からのズレ」は、これらが原因であると私は主張します。
シュヴァルツシルト半径内といっても、事象の地平を超えるわけではありません。事象の地平は原理的に到達不可能です。落下観測者はどこまで行っても「宇宙ブラックホールの事象の地平」の外側にいます。上図で落下観測者がシュヴァルツシルト半径を超えて落下すると空間が裏返しとなり、全天に宇宙ブラックホールの中心核と事象の地平面が広がった閉鎖空間となります。その場所は「宇宙ブラックホールの事象の地平」の外側には違いないのですが、その事象の地平で包み込まれた孤立した閉鎖空間です。事象の地平面は光を全て吸収し、一方通行で光を含む一切の放射は出てこれず、そのため絶対零度です。これに包まれた我々の宇宙空間は真っ暗になり絶対零度近くまで冷却されました。
0-4. シュヴァルツシルト半径内は無重力空間
裏返し空間では落下観測者から見ると全天に宇宙ブラックホールの中心核が等距離に存在するので、重力がバランスして無重力状態(本論では時間速度勾配がゼロと表現)となります。「落下観測者」という物質が中心核の重力で加速されるのはシュヴァルツシルト半径の所までであり、その後は慣性による等速運動となります。この理論設定により宇宙全体での質量エネルギー保存則が守られます。
我々はシュヴァルツシルト半径までの落下過程で既に大きな落下速度を獲得しているので、中心核までの距離は一定速度で縮まっています。これは我々から見ると最遠方の事象の地平面が一定速度で我々に近づく、つまり大宇宙の大きさが縮んでいくように観測されます。遠方銀河とは等距離を保ちますが、事象の地平面が近づいてくるので赤方偏移が進行していき、最遠方銀河から実質的に消えて無くなります。ちなみに時間速度が1/nの空間では距離も1/nになります。光速度も1/nになります。
0-7. 遠方空間の見え方について
例えば現在観測される時間速度が1/1000の場所(ほぼ宇宙の背景放射が観測される場所)について考察します。外部空間で我々の空間との時間速度差がほぼゼロだったころを原点とします。宇宙ブラックホールに近づくほど時間速度勾配が大きくなって、シュヴァルツシルト半径を超えたところで慣性運動になります。そこから時間速度比はほぼ1/1000で大きな変化はなかったと推定します。
我々から「時間速度が1/1000の空間」までの距離が150億光年だとすれば、光の速度から見て150億年前の空間を見ていることになります。そこに更に時間速度の差が加算されます。我々の空間との時間速度比が1/1000なので、われわれが落下し始めてから1000億年が経過しているとしても、その空間では1億年しか経過していないことになります。
つまり我々が観測している宇宙の背景放射をしている空間というのは、宇宙ブラックホールのシュヴァルツシルト半径を超える前の、外部空間にある3000K黒体放射層にあったころの空間を見ていることになります。つまり宇宙の2.7Kマイクロ波背景放射とは、この空間からの光が赤方偏移で波長が約1000倍になって、やっと我々の所に到達したものです。
同様にもう少し我々に近い時間速度がほぼ1/10の空間については、同様に我々の宇宙空間が落下を始めてから1000億年だとしても、その場所では100億年しか経過していないので比較的若い宇宙が見えることになります。この時間速度が1/10程度の空間が我々が直接観測できる限界付近になります。
0-12. 外部空間の構造
●外部空間にあって宇宙ブラックホールを包んでいる高温層とは、最外側は落下物の落下エネルギーが蓄積して超高温になり、放射優勢で物質状態のものが存在しない領域です。そこは主に光エネルギ―とダークマターから成ります。次の中間層ではブラックホールによる冷却の影響で徐々に温度を下げ、するとダークマターから物質が対生成されます。さらに正物質と反物質を分離するメカニズムが働き、正物質と少数の陽子のみがさらに下の3000K黒体放射層に送られます。そこで物質(主に水素とヘリウムと陽子)は重力収縮を始め、ある程度の塊り(雲状)になり宇宙ブラックホールに落下していきます。これが我々の観測している大宇宙を作っていきました。落下するとき、物質の塊りは別の塊りを引き込んで数珠状に繋がる様に落下していきます。これが銀河団のフィラメント構造その他を作ったと推定しています。

●徐冷空間にあり、正物質のみ選択して落下させる構造
[図ー1] 時間の遅れた空間が及ぼす影響
1-4. 重力場について
[図ー2] 空間の時間速度勾配により物質の質量に推力が生じる
重力勾配のある空間とは時間遅れの程度に空間的な強弱がある空間のことである。この強弱が出来るのは重力場を作る「真の質量」との距離等で決まる。これは既存の重力方程式の質量項に「真の質量」を代入すれば求められると考えている。
ここで [図ー2] の物質の存在する空間は左側が時間速度が遅く、右側が時間速度が速かったとする。
Mの左下への動きでは時間速度の遅い空間の方向に、つまり時間遅れの大きい空間側にMの軌道が曲げられる。これは透明物質中で光速度が遅くなる方向に光が屈折するのと同じ原理である。
これはMの右上への運動でも同様に時間遅れがより大きい方向に曲げられる。そのためMがランダム運動している場合でもMの軌道が時間遅れの大きい方向に全て曲げられる。すると物質シェルが受け取る総運動量ベクトル和は時間遅れのより大きい方向に向けた運動量が発生する。
これが重力場(ここでは空間の時間速度勾配)で質量が引力F=Mgの力を受ける原理であると私は主張する。そして引力F=Mgには上限値があることも示唆する。引力Fが物質内部の質量エネルギーMの運動量に起因する以上、それのベクトルが完全にそろったときに生じる引力Fが最大値となる。
加えて、もし上記「時間の遅れた領域」の時間速度がゼロ(停止)であれば、その距離はゼロになる。我々の観測する大宇宙の最遠方は事象の地平であるという本論の主張には、ほとんど異論がないだろう。なぜなら従来のビッグバン宇宙論でも、この宇宙の最遠方は事象の地平だとしており、この点は本論と同じだからである。するとそこは半径約140億光年の球体の内面に見えるが、実際にはその広がりはゼロであり、一つの点であるという事になる。全天に広がって見えるのは空間構造によるものである。これを曲がった二次元面である地球表面で例えてみる。例えば観測者が南極点に立つと最遠方に北極点が存在し、しかもそれは360°方向すべての最遠方に北極点が存在している。ここで北極点を事象の地平だと思えばよい。つまり点の事象の地平が360°方向に広がって見える。
1-5.その他、基本理論のまとめ
よく知られた理論や法則と、それに対する私からの少しの拡張や修正の提案
(1) 質量エネルギー保存の法則
質量エネルギーは総量が一定である。ここで言う質量とは慣性質量、重力質量の事であり、エネルギーと等価 (換算式 E=Mc^2)
拡張:あるブラックボックス内でどんな反応が起きても、そこからの出入りが全く無い場合、ブラックボックスの質量とそれの作る重力場も変化せず一定である。内部の電荷数も一定である(すべてに保存則が成立)。それはたとえ電子ー陽電子反応、陽子ー反陽子反応でも保存則は成立する。 電荷については存在し続けていても、正電荷と負電荷が結合することで電場が打ち消され、外部からは観測できなくなる、という事はあるよ
(2) 真空中で光は最短距離を直進する
真空中では光は直進し、その光路は二点間の最短距離である。遠方観測者から見て光路が曲がっているように観測される場合、それは空間が曲がっていると解釈され、曲がった空間を光はあくまで直進している。その光路は二点間の最短距離である。
拡張:真の質量の作用で空間の時間速度が1/nに遅くなった場合、光速度も1/nになる。空間の距離も1/nに短縮する。
(3) 曲がった三次元空間では二点間の光路は無数にあり、その全てが最短距離
3次元空間は重力場で曲がり、曲がった3次元空間では2点間の光路は1つではなく無数にできる場合が有る。
拡張:一つの中心核による単一構造の重力場において、観測者から出た光が全て中心核に向かうような空間の場合、無数に出来た二点間の光路は全て等距離で二点間の最短距離である。これは曲がった2次元空間である地球表面で、南極と北極を結ぶ最短行路は無数にあり、それらは全て等距離になるのと同じ事である。つまり観測者から見て全ての方向の等距離に中心がある閉じた空間となる。このモデルでは地球南北の両極間の様に正反対の位置にある二点間ではこの論理は成立する。しかし例えば日本とハワイ間であれば地球表面に直線は2本ひけるが、最短距離は一本だけとなる。また地球が完全球体でない場合は無数に直線は引けても、それらが全て等距離ではなくなる。このあたりの取り扱いは少し難しい。A-B間を結ぶ二つの光路があった場合、単一の重力場でそれが起こればその二点間は最短距離であり、等距離となる。しかし一方が鏡や別の物質の重力レンズ効果で曲げられて、結果としてA-B間に複数の光路ができていた場合には、当然その光路は等距離ではない。
(4) ブラックホールについての認識
ブラックホールとは、その強い重力場で光も抜け出せなくなった天体。遠方観測者から見るとシュヴァルツシルト半径の所に事象の地平面があり、遠方の観測者から見ると落下者は事象の地平面で時間が停止し、その場所に永遠に停まる。赤方偏移も増大し事象の地平面で無限大に達する。しかし落下観測者にとってはシュヴァルツシルト半径は支障無く通過し、中心核に達する。
拡張:シュヴァルツシルト半径内の落下観測者から発せられた光の光路は外部に向うことが出来ず、大きく曲げられて全て中心核に向う。すると光路は可逆的なので観測者の全ての方向に中心核が見える事になる。しかも見えるだけでなく実際にその方向に存在する。そして光路は2点間の最短距離なので、全ての方向に中心核が等距離で存在する形になる。→シュヴァルツシルト半径内に散在する全ての観測者からみて、天球に「等距離で全天に広がった中心核」で包まれた「球形の閉鎖空間」の中心にいる形になる。→全天に中心核が等距離に存在するので重力がバランスし、無重力状態になる。また中心核から等距離の所に事象の地平面ができる。これを観測者から見ると全天の等距離の所に事象の地平が存在する形の閉鎖空間になり、閉じ込められる。こうなると外部との連絡手段はなく脱出も不可能。
(5) 重力崩壊についての補足説明
本論では大宇宙ブラックホールの中心核は特異点にはならないとしている。なぜなら中心核の重力場が極端に強くなると、その重力場による空間の歪で空間が閉じてしまう。これは空間が反転することを意味し中心核が全天空に広がる。
すると落下物体にとって中心核の重力がバランスして無重力状態となり、それ以上、落下速度が増大することは無い。落下による運動エネルギーの増加もない。そのため、その物体が中心核に衝突してもエネルギー放出量は限られている。中心核に積もった物体にも大きな重力は働かない。そのため空間が閉じてブラックホールになってからは、それ以上の中心核の圧縮はあまり進まない。重力崩壊は無く特異点もできない。普通の物理法則が適用できる世界だ。
1-6.この宇宙論全体のまとめと理論背景
我々の大宇宙空間では、全天空を等距離で事象の地平面が均等に覆う。だからこの宇宙空間は基本的に真っ暗で絶対零度に近い寒さだ。事象の地平面の手前には過去の空間、物質が時間が停止に近い状態で降り積もっている。この中には宇宙の背景放射を行っている層(赤方偏移約1000、温度約3000Kの黒体放射領域)も有る。
リンク 詳細解説 → 宇宙の背景放射について
我々が観測できる天体は全て大宇宙ブラックホールの中心(全天空の最遠方)に向かって等速で落下している。しかし遠方の天体ほど中心核に近いので重力ポテンシャルの差(本論によれば時間速度の差)で大きく重力赤方偏移している。多くの銀河が渦巻き構造なのは、初期宇宙で分散した物質が重力収縮する際に、大宇宙中心核による潮汐力の影響を受けるので多くは渦巻き構造になる。
本論によれば我々の宇宙に反物質が存在しない理由や、宇宙が加速膨張しているかのように観測される理由も、ダークマターの正体も、十分に検証された物理理論の範疇で合理的に説明可能だ。
2.本論の立ち位置
宇宙の成り立ちについて現在、最も支持されているのは膨張宇宙論(ビッグバン説)である。しかし私はこの説には同意できない。この説を成立させるには十分に検証されている古典物理(ニュートン、アインシュタイン時代)の原理原則、定理をかなり曲げなくてはならない。
しかし私の個人的志向としては最低でも「質量エネルギー保存則」は守りたい。これまで無視したら永久機関も肯定する無茶苦茶な世界観になる。加えて本論では電荷、重力場は三次元空間で不変量であり、物質は四次元時空間で不変の体積(w・t=不変。真の質量)を持つとして、思考実験でそれの証明を試みている。
そしてここでは、これらの原則を厳密に守って構築した全く別の宇宙論を提案したい。この仮説によれば古典物理理論を無視するような「特異点」とか「空間の膨張、インフレーション」,「ダークエネルギー」などという変なものを持ち出さなくても、古典物理の範疇で現実宇宙の観測事実をほぼ完全に説明可能だ。従って私の仮説の方が多くの人にとって、感覚的にも抵抗なく受け入れられると思える。
尚、ダークマターは本論でも存在を認めており、その構造やふるまい、生成メカニズムについて解説し、その存在を思考実験で証明している。またこの宇宙が正物質のみになった理由も、宇宙の2.7K背景放射についても合理的な解説をしている。
またビッグバン宇宙論と本論では、結果として宇宙構造がほぼ同じになる。ビッグバン論ではすべての方向で遠方ほど過去となり、最遠方はビッグバンの始まりの原点となる。これは我々から見る全ての方向について同様である。だからビッグバン論でも原点が全天に広がった一種の裏返し空間となる。また遠方では空間の膨張速度が光速を超えて事象の地平面を作り、我々の全天を覆うと解釈している。これは我々から見て本論による宇宙空間の構造(宇宙ブラックホールの内部世界)と同じであり区別が難しい。
3.各種の観測事実に対する本論による説明
私の主張する我々の宇宙の正体とは、まず我々の認識できない場所にある超広大な外部空間が元々の舞台になる。そこには我々の宇宙が所属する超巨大ブラックホールがあると想定している。我々が認識している大宇宙空間はこのブラックホールの中に含まれるが、それはごくごく一部を占めるに過ぎない。このブラックホールをここでは宇宙ブラックホールと呼ぶ事にする。宇宙ブラックホールのシュヴァルツシルト半径はおそらく数千億~数兆光年以上に達する。
宇宙ブラックホールの近辺には外部空間から落下してくる物質、光エネルギー等が溜まり、落下エネルギーの開放や正、反物質の反応などで超高温の層を作っている。その層の外側~中央部は放射優勢であり物質の形では存在できない。しかしこの層の内側では宇宙ブラックホールの事象の地平面(絶対零度)に対する放射冷却で徐々に空間温度を下げる。すると光エネルギーはダークマターにエネルギーを渡して物質を生成するようになる(正物質と反物質のセットで生成)。
例:電子ー陽電子結合型ダークマターが高エネルギー光の吸収で結合が切れて電子と陽電子が対生成する。それ以外にも陽子ー反陽子結合型ダークマターから陽子と反陽子が対生成するなどの反応が起こる。
3-1.なぜ我々の宇宙空間は暗くて寒いか、の詳細解説
前記した宇宙ブラックホ-ルの事象の地平面とは、全ての放射を吸収し反射や再放射をしないので、真っ暗で絶対零度の場所である。絶対零度の壁で包み込まれているのだから我々の宇宙空間は暗く、基本的には絶対零度に向かって冷却されている。ホーキング放射が実在したとしてもその量は僅かであり、実質的には絶対零度と考えてよい。
この飼い主はホーキング放射を信じていない。ついでにディラックさんの負のエネルギー関連に関する説にも否定的だ。
それを拒むのは多くの恒星が放出する光エネルギーだったり、空間が閉じる前に注ぎ込んでいた外部空間からの放射エネルギー(主に約3000K黒体放射)の残滓だったりする。しかしそれでも絶対温度で約2.7Kにしかなっていない。
● 観測事実との一致を確認① 宇宙は暗くて寒い
3-2.膨張宇宙、ハッブルの法則について
前記した様に本論ではこの空間は観測者から見て遠方天体ほど中心核に近い。つまり重力勾配の下側になるので遠い天体ほど、重力ポテンシャルの差で赤方偏移して見える。この観測結果から赤方偏移の原因をドップラー効果だと考えて膨張宇宙論(ビッグバン説)が生まれた。
しかし私の主張ではこれは重力赤方偏移であり、我々の宇宙は宇宙ブラックホールへの落下過程だということになる。そして我々の認識する宇宙空間の終端である宇宙ブラックホールの事象の地平面に近づく天体ほど、大きな赤方偏移が見られる。事象の地平面では赤方偏移が無限大で放射を含めて行きの一方通行なので絶対0度になる。するとこれは我々が観測している宇宙の最遠方の状態と非常によく一致している。
ある遠方宇宙空間における赤方偏移による光の波長の増大率をN倍とすれば、その場所の時間の速度は我々から見て時間速度が1/N倍となる。事象の地平面ではNが無限大になるので時間も停止する。そしてその手前側に大きな赤方偏移の見られる空間が積み重なる。そこには空間が閉じる前に外部空間からの高温放射にさらされていた空間(赤方偏移約1000)もあり、そこからは宇宙の2.7K背景放射が観測されている。
リンク 詳細解説 →宇宙の背景放射について
● 観測事実との一致を確認② 遠方天体ほど大きな赤方偏移:ハッブルの法則
3-3.我々の宇宙空間の元素構成についての説明
大宇宙ブラックホールの外に広がる外部空間は非常に希薄で高温であろうと推定するが、物質が存在できず放射優勢となるほどの超高温は大宇宙ブラックホールに比較的近い空間のみの可能性が有る。
外部空間に広く薄く分布していた物質が、遠方から宇宙ブラックホールに落下していく過程で大きな運動エネルギーを得る。そしてそれらは光速に近いような速度になる。それが宇宙ブラックホール近くで濃縮され、衝突を繰り返すことで熱エネルギーに変わり超高温状態になる。
また外部空間では物質として存在していたとしても正物質と反物質が入り混じった状態である可能性が高い。これは高温で低密度だからあり得ることだ。そして宇宙ブラックホールに落下する過程で前記した宇宙ブラックホール周辺の超高温層にぶつかって光エネルギーの塊になり物質として存在できないような超高温層を形成し維持する。
この様に少なくとも宇宙ブラックホール近辺は物質がダークマターと放射エネルギーという形態でしか存在出来ない様な超高温の空間で包まれるが、この超高温層の内側では宇宙ブラックホールの事象の地平面(絶対零度)により空間が冷却され始める。するとダークマターから電子ー陽電子対、陽子ー反陽子対などの物質が対生成し始める。
それらは更に反応してヘリウム原子核等も融合で生成するが、密度と時間の関係でそれ以上の融合反応は進みにくい。そのため我々の宇宙空間の初期には存在する物質の大部分が、水素原子とヘリウム原子で始まった。しかしリチウム以上の原子も少量なら生成した。
● 観測事実との一致を確認③ 初期宇宙の構成物質は主に水素とヘリウムである
ホーキング放射が実際にあるとすれば事象の地平面も厳密には絶対零度ではないかもしれないが、あったとしても数値的にはゼロに近く実質的には絶対零度として扱って問題ない。
この様に事象の地平が覆い被さり、完全に包み込まれて外部空間とつながる窓が閉じる時、外部空間からの数千度の黒体放射は遮断された。その前に入射していた放射は我々の周囲からは速やかに飛び去り、全天に広がる事象の地平面に向かって吸収されていった。
3-5. 宇宙ブラックホールの外側(外部空間)にある高温層の構造について
宇宙ブラックホールを包む高温の層は中央部は10^15K以上といった超高温だが、前記したようにブラックホールに近づくと事象の地平への放射冷却で急激に温度を下げる。そして約3000Kの所で明確に層が分かれる。それより外側では光が通過できない不透明層になるので熱移動がしにくく、超高温を維持しやすい。
しかし約3000K以下では光が自由に通過できるようになり、ブラックホールの事象の地平に向かって猛烈な放熱が起こり、急激に温度が下がる。このようにしてブラックホールの事象の地平面には3000Kの放射光が降り注ぐ。
3-6. 我々の宇宙に背景放射を行っている層について
我々が落下を続けてシュヴァルツシルト半径を超えたとき、空間が閉じ事象の地平で全天が覆われた。すると我々の周囲は外部空間からの光放射が完全に遮断される。すると空間に残った残光は次第に事象の地平に向かって吸収されていき、空間が冷却されていった。そのため我々の近辺の空間からはさまよう残光はほとんど無くなっていった。ただし一億光年の厚さの層から残光がなくなるのには、やはり一億光年程度かかる。これは光速度が有限であるための空間の畜光効果とでも呼べるものだ。
さらに我々の認識する宇宙空間は遠方空間ほど時間速度が遅くなっている。つまり遠方空間ほど落下を始めてからの時間経過が少ない過去の宇宙を見ていることになる。さらに遠方から我々に光情報が届くのは光速度が有限であるために時間がかかっている。この効果だけでも遠方空間は100億年以上、過去の姿を見ていることになる。従ってこの2つの時間遅れ効果を合わせると、我々が観測する遠方空間は数千億年以上も昔の姿を見ていることになる。
事象の地平のすぐ近くの赤方偏移が1000に近い層では、遠方なので我々に光が到達するのに140億年近くかかっている。つまりそれだけ過去の姿だ。さらに赤方偏移が約1000ということは、時間速度も我々の空間の約1/1000という事だ。そのため我々の空間に比べ、初期宇宙の時からわずかしか時間の経過していない空間がそこにはある。
するとその場所ではまだ空間が閉じておらず、外部空間の強烈な放射光に満たされた時代の空間だったのだろう。そこは宇宙ブラックホールの外部空間に形成され、宇宙ブラックホールを包みこむ超高温層になる。そのなかでも最内側にある約3000Kの黒体放射層がその場所だ。そこは約3000Kの放射光であふれていた。そしてその光は遠方なので、そこから約140億年かけて我々の場所に届いた。それを我々は宇宙の背景放射として観測している。これが宇宙の2.7K背景放射の正体である。
この赤方偏移が約1000の空間の後ろには赤方偏移が1000を超える空間もある。しかしそれらの空間からの光はさらに長波長でエネルギーが小さいことに加え、空間温度が高すぎ光が自由に動けない。そのため光放射自体が少ないし、さらに3000K黒体放射層の空間でほとんど吸収されてしまう。そのため我々には赤方偏移1000の空間よりも遠方の光情報は届かない。
3-7. 背景放射はなぜ均一な黒体放射になるのか
外部空間の水素やヘリウムのプラズマからの放射が線スペクトルにならず黒体放射になっているのは十分な(密度×奥行き)があるためである。これは太陽表面も主に水素、ヘリウムなのに黒体放射になっているのと同じことだ。
背景放射強度が極めて均一なのは、それが宇宙ブラックホールの同一の「事象の地平」に近いためである。事象の地平は距離がゼロにまで圧縮されているので、広大に見えていてもその正体は点であり、均一で等距離なのは当然の事となる。これに極めて近い場所にある宇宙の背景放射を行っている層も時間速度が約1/1000なので距離も約1/1000に圧縮されており、点ではないもののきわめて狭い範囲でしかない。そのため極めて均質な層となっている。
3-8. 背景放射に見られるわずかな不均一さの原因
前記の様に我々の宇宙から見ると、この宇宙の背景放射層は極めて均等である。ただし3000K黒体放射層の温度分布も完全には均一ではなく、特にそこに含まれる物質の分布も完全に均一ではないので、わずかな光放射の分布模様はある。また我々の大宇宙は中心核に対して公転しながら落下しているとも考えられるので、それによる偏りも有るだろう。また中心核に対して我々が公転している事も十分考えられるので、それらも天球の背景放射の偏りとして観測される可能性がある。
また空間が閉じる直前の落下方向とその逆方向では、空間が閉じた後でも事象の地平近くの背景放射が観測される空間あたりに若干の差異が残りそうだ。これらも背景放射の完全当方性を少しだけ破る原因となる。
リンク 詳細解説 → 宇宙の背景放射
遠方天体ほど、そこから光情報が伝わるのに時間がかかっているのだから、例えば130億光年先の宇宙空間から来る光情報は我々に130億年前の景色を見せてくれている。さらにそこからくる光は重力赤方偏移による赤方偏移で波長が約10倍になっているとすれば、それに伴い時間の速度が約1/10になっている。従ってその空間は130億年前の姿であることに加え、その空間が生まれてからの時間は我々が認識する時間の1/10しか経過していない。
宇宙の2.7K背景放射についての詳細検討、試算
以下は宇宙の背景放射に関する試算である。かなり端折った乱暴な設定ではあるが、基本線は妥当であり事実に近いと思っている。
我々の近傍の宇宙空間が宇宙ブラックホールに落下し始め、空間が閉じ始めたころ今見えている130億光年先の宇宙もやはりほぼ同じ位置関係にあった。赤方偏移もほぼ同じであったと仮定すれば、我々と130億光年先の宇宙空間、天体の落下速度が共に光速の1/5だったと仮定すれば、落下し始めてからの時間差は130億c・y(光年)÷(1/5)C=650億年。つまり650億年先に落下を始めた宇宙空間だといえる。
我々の銀河周辺が落下し始めてから150億年と仮定すれば落下距離は150億y×(1/5)c=750億c・y つまり750億光年となる。130億光年先の宇宙は落下し始めてから750億y+150億y=900億y つまり落下を始めてから900億年の時間が経過していることになる。
しかし我々の宇宙が落下し始めるころ、130億光年先の宇宙からは光情報が伝わるのに130億年必要なので650億年先に落下を始めたものの我々の観測では650億y-130億y=520億y つまり落下を始めて520億年の宇宙を見ていた事になる。
そこから我々の宇宙空間も落下を始め、150億年が経過した。すると130億年先の宇宙は落下を始めて520億y+150億y=670億y つまり落下を始めてから670億年の宇宙を130億光年の彼方に見ていることになる。
しかしこの130億光年先の宇宙は赤方偏移により時間速度が我々の1/10なので670億y×(1/10)=67億y つまり落下を始めて67億年の比較的若い宇宙を見ていることになる。この仮定による結果は現在の観測結果に近いだろう。130億光年かなたの宇宙空間にも比較的若い銀河が多数、確認されている。落下を始めてから67億年の宇宙空間なら、多数の銀河が生まれていても矛盾はない。135億光年先にも銀河は発見されているが、本論なら矛盾はない。しかしビッグバン論の標準的なストーリでは論理的な説明は不可能だろう。
次に宇宙の背景放射を行っている層はどうだろう。観測による予想では我々から約138億光年遠方とされている。赤方偏移は約1000であり、時間速度は約1/1000になる。
我々の近傍の宇宙空間が宇宙ブラックホールに落下し始め、空間が閉じ始めたころ今見えている138億光年先の宇宙もやはりほぼ同じ位置関係にあった。赤方偏移も同じ約1000であったと仮定すれば、我々と138億光年先の宇宙の落下速度が共に光速の1/5だったと仮定すれば、落下し始めてからの時間差は138億c・y(光年)÷(1/5)C=690億年。つまり690億年先に落下を始めた宇宙空間、天体だといえる。
我々の銀河周辺が落下し始めてから150億年と仮定すれば138億光年先の宇宙は落下し始めてから690億y+150億y=840億y。つまり落下を始めてから840億年の時間がたっていることになる。
しかし我々の宇宙が落下し始めるころ、138億光年先の宇宙からは光情報が伝わるのに138億年必要なので690億年先に落下を始めたものの我々の観測では690億y-138億y=552億y。つまり落下を始めて552億年の宇宙を見ている事になる。
そこから我々の宇宙空間も落下を始め、150億年が経過した。すると138億年先の宇宙は落下を始めて552億y+150億y=702億y。つまり落下を始めてから702億年の宇宙を138億光年の彼方に見ていることになる。
しかしこの138億光年先の宇宙は時間の進行速度が1/1000なので702億y×(1/1000)=0.7億y つまり落下を始めて0.7億年のまだ宇宙が閉じていない初期の宇宙を見ていることになる。この仮定による結果は現在の観測結果に近いだろう。138億光年かなたの赤方偏移が1000に達するような宇宙空間は、まだ空間が閉じておらず外部空間にある宇宙ブラックホールを取り巻く高温層の中にあった。高温層の中でも最内側に位置する約3000Kの黒体放射層にあったと推定される。
そのためここからの放射は3000K黒体放射であり、それが大きな赤方偏移(約1000)を受けて宇宙の2.7K背景放射として観測されているものである。
この3000K黒体放射層は温度分布や物質分布が完全には均一ではないので、多少のムラは存在する。しかしこの層では距離が約1/1000になっているので我々はかなり狭い範囲を大きく拡大して見ている事になる。そのため、宇宙の背景放射は多少のムラはあってもかなり均一だ。
リンク 詳細解説 →宇宙の背景放射について
● 観測事実との一致を確認④ 宇宙の2.7K背景放射 かなりの等方性と僅かな偏り
3-9.宇宙の大規模構造ができたメカニズム
空間が閉じると物質が外部空間から持ち込んだ熱も、すぐに放熱されて絶対零度に向かって冷え込む。やがて物質やダークマターの重力で物質が集積し始め、恒星が出現し、銀河を形成する。
生成した物質が大宇宙ブラックホールに落下する際には、均等分散して降りそそぐわけではない。落下を始める前に既にある程度の部分集積がおこり、それらがある程度まとまって粘性流体の様に落下していくと考えた方が良い。これらにより銀河団、宇宙の大規模構造が出現した。またこれらは大宇宙ブラックホールに対して公転運動をしていると考えるのが普通だろう。
他の可能性としては宇宙ブラックホールを包む物質生成、正物質フィルター層の最下層には電子層ができている。
リンク 詳細解説 → 反物質が無い理由 → 外部空間と宇宙の背景放射
そこには常に電子が供給されていくので電位が上昇し、そのうち宇宙ブラックホールに放電(落雷)する。するとその強大な電流による光放射により落下物質粒子を押しのけ、何もない空洞状のボイドが発生し、それに伴い落下物質粒子が寄せ集められて凝縮したフィラメントという密集銀河群の構造の元ができた可能性が有る。
● 観測事実との一致を確認⑤ 銀河中心の巨大ブラックホールと銀河の大規模構造
3-10.宇宙の加速膨張と一般的には解釈されている観測事実についての説明
ある観測事実から宇宙が加速膨張していると言われているが、それは観測事実を膨張宇宙論(ビッグバン論)に当てはめたときに加速膨張だと言っているだけであり、本当に加速膨張しているかどうかは別問題だ。
観測事実は赤方偏移を横軸に取り、縦軸にその天体までの距離を取ったときに、赤方偏移の増大に対し予測される天体までの距離が、赤方偏移が大きい領域では均等膨張だとした場合に予想される距離よりも遠くなりすぎることだ。同じ割合で膨張しているとして予測した赤方偏移の値に対する距離よりも、遠くの天体はより遠くにある。これにより現在の宇宙は加速膨張していると解説されている。さらに観測事実から宇宙の初期には逆に減速膨張だった可能性が有るとされる。
本論(宇宙ブラックホール仮説)によれば全ての天体は宇宙ブラックホール中心に対して慣性運動(等速落下)をしていることになる。
ここで宇宙ブラックホールの質量が中心核に一点集中だと仮定して試算してみると、我々の銀河から遠く離れた天体ほど位置エネルギー差(ほぼ∝赤方偏移)に対する距離は小さくなる。
これでは観測事実に反することになってしまうが、もう一つの事実として宇宙ブラックホールは質量が一点に完全集中したモデルではないという事だ。常に物質やダークマター(正ー反物質結合体)が落下し続けており質量がかなり分散配置されたモデルとなっている。
このようなモデルでは例えば我々の銀河近辺の様にまだ落下距離が浅いところでは、後から落下してくる物質やダークマターの量と割合が少ないので、宇宙ブラックホールは質量が一点集中したモデルに近い。
すると観測結果は前記したような位置エネルギー差に対する距離が近くなる。これをビッグバン論者から見ると空間膨張が初期宇宙では減速膨張しているかの様に見える。
逆に遠方銀河の様にかなり深く落下した天体、場所では後から落下してくる物質、ダークマターの量や割合が非常に多いので、宇宙ブラックホールは質量が一点集中モデルとは言えなくなる。
すると後から落下してくる物質、ダークマターが遠方天体の位置エネルギーの増加を緩和する方向に働き、観測結果は位置エネルギー差に対する距離が遠くなる。これをビッグバン論者から見ると空間膨張が加速しているように見える。
しかしそのように観測されたとしても、実際に空間が加速膨張しているわけではない。本論によれば我々の空間は宇宙ブラックホールへの等速落下過程であるから、遠方天体との距離は一定を保つ。宇宙空間全体のサイズは縮小していく。
本論では観測事実がどの様な物であったとしても宇宙ブラックホールの質量集中、分散度合いを変えてみれば観測事実に整合した説明が可能になるので、今後どのような観測事実が出てきても対処できるだろう。
リンク 詳細解説 → 宇宙の加速膨張について
● 観測事実との一致⑥ 超遠方天体はハッブル定数からの予想より暗かった(遠かった)
3-12.我々の宇宙は正物質のみで反物質が見当たらない事についての説明
3-13.宇宙の見かけ年齢について
4.質量エネルギー保存則に対する追加法則

4-3.質量がゼロになっても、物質や重力場は存在し続ける → 証明②
5.空間が閉じて反転するメカニズムの図解
この内容については新規ページを設けたので、そちらをご参照されたい。
リンク 詳細解説 → 宇宙ブラックホール内の景色と、閉鎖空間の出来るメカニズム。
リンク 詳細解説 → A view inside a cosmic black hole and - - - English edition
以下はしばらく併記するが、上記の方が正確。
もう一度、我々の宇宙が巨大ブラックホールの内部世界であり、裏返し空間の宇宙だったら、についてまとめてみよう。
下図は観測者が宇宙ブラックホールに落下中だが、まだ空間が完全には閉じていない状態の図。
6.結論
ブラックホール内の閉じた空間構造は、我々の観測する宇宙と同じであった。我々は宇宙ブラックホールというシュヴァルツシルト半径が恐らく一兆光年を超えるブラックホールのシュヴァルツシルト半径内を落下している過程である。
(汗) あくまでこの飼い主の主張であり、もちろん仮説だよ
しかしダークマターの説明は明解で画期的だと本人は思ってるよ
反物質が無い理由の解説も他論に比べて一番納得できるぞ
作者主張:それより画期的なのはシュヴァルツシルト半径内の天体は空間が反転するので中心核の重力が打ち消され、重力加速度がゼロになるという結論だ。これで質量エネルギー保存則がどこまでも成立し、中心核の無限の圧縮も無いので特異点を考える必要すらない。本論によればブラックホール内部はさほど特殊な環境ではなかった! ただ空間が反転して裏返しになっているだけだ。宇宙全体として質量エネルギー保存則は成立し、重力場、電荷も保存される。特異点は存在しない。これは完璧に整然とした世界観だ。
おそろしやー 飼い主の思い込みもついにここまできてしまったか - - -
新しい物理法則の提案(あくまで古典物理を逸脱しない範囲での拡大解釈)を含め、この宇宙の成り立ちを説明するストーリーをまとめてみました。
とりあえず私が私に説明するのに、宇宙の成り立ちに関する説明不可能な所がほぼほぼ無くなくなった。私の感想では、たぶんこのストーリーは正しい!