2015-10-11 (Sun)✎
リアルタイム開発ストーリです→現在進行形
いろいろと苦労したけど、ほぼ自信を持って販売できる製品ができた。
紹介するHPはこちら → FCM-N型熱風ヒーターコントローラ
最終試作機ではエアータンクの容量アップをしタンク内への出入り口にサイレンサをつけ、内部にセラミックウールを充填した。これでかなり静かになり、エアーの脈動も感じなくなった。更に電磁弁のエアー入口側にも小さなタンクを設け、サイレンサを組み込んだ。これで音はさらに小さくなった。これでうるさいと言う人はたぶんいないだろう
販売目標はとりあえず30台/月~100台/月。商品力としては十分にあると思うが、問題はどうやって作り売っていくかだ。作るのは協力してくれる会社が現れたので、これに期待しよう
売るのをどうしようか。販売力のある何か(誰か)を探さなくてはならないが、どーしたもんだか。HPでの販売と意欲のある代理店を探すこと、ミスミさんやモノタロウさんなどの利用が考えられる。アマゾン,アリババさんもありか。最終的にはアメリカでも大量販売したい。いっそ有力な総代理店を探そうか。数年後の販売目標は300台/月以上だろう
このコントローラはエアー源がコンプレッサーの熱風ヒーター用コントローラを全て置き換える可能性がある。コスト面、機能面でそうなり得る資質を持っている。現在は内部部品として市販の温度調節器を2台使っているが、これはマイコンに置き換えれば劇的にコストダウンできる。これの他に金のかかりそうなパーツが見当たらない。電磁弁も¥2000以下で入手できるし、ケースも現在はSUS304 で¥7000くらいするが、鉄塗装にして生産ロット数を1000以上にすれば標準価格3~5万円も可能だろう(現在は\129800)
こうなるとわざわざ流量計や温調器,SSR,マスフローコントローラを組み合わせて制御を考える人はいなくなる
わが社のコントローラはランプヒーター用コントローラも含め「どこでも作れますが、わが社でも作れます」と言ったレベルの製品しかなかった。「わが社でしか作れません」と言えるコントローラでないと企業体質は強くならない。熱風ヒーター自体は我が社でしか作れない製品をもっているから、それに付属させれば独自性の無いコントローラでもある程度は売れるだろうが、コントローラをわが社から買うのは必然ではなく、いつでも他社に切り替え可能だった
しかしFCM-Nはわが社でしか作れない特許コントローラだ。特許だけにたよらなくても、そう簡単にはマネできないノーハウが多い。それにこのコントローラは電気の制御とエアーの高度な制御を組み合わせる技術が必要だ。どちらかに強い技術者は多いだろうが、両方に精通した技術者は少ない
FCM-Nは他社製の違う構造の熱風ヒータや各種ガスヒータにも採用の可能性がある。そう考えると市場規模は相当大きく、わが社の将来を支える3本柱の一つに育ち得る商品だ
話を販売にもどして初期の販売キャンペーンとして1台お買い上げにつきご希望の熱風ヒーターを1本付けます、というのはどうだろう?
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2016/04
現在、画期的?だと思う熱風ヒーターのコントローラを商品化すべく頑張っている。
なにが画期的だと思うかであるが、エアーの流量制御という目的に対し電磁弁をサイクル制御して対応しているところである
つまりこれまでの常識としてはエアーの流量調節をしようと思えば、流量の大小を無段階に調節できるバルブが必要だった。しかしこのアイデアでは電磁弁を1秒間に10回ほどON-OFFさせて、そのON時間とOFF時間の比率で流量制御を行なおうというものだ(時間比例制御) 
いまはやりのデジタルだー

いまはやりのデジタルだー

ここで言う熱風ヒーターとは何なのか? については下記ビデオでmahoさんがやさしく解説してくれるよー
この様なアイデアが出た背景としては、熱風ヒーターはヒーターの電気的コントロールに加えてエアーを必要量、安定的に流す必要があるためだ。エアーを必要量流すという目的に対しては従来的には2つの方法があった。一つは流量計付きニードルバルブを使う方式、もう一つはマスフローコントローラを使う方式だった
しかしニードルバルブは流量の安定性に難がある。またエアーの元圧が変動すると流量もつられて変動する。また電気的にコントロールできないのも使いにくい
マスフローコントローラにはコストの問題があった。大量買いで安く仕入れても4~5万円であり、安いものは流せる流量にも制限があった。これではコントローラの原価の半分以上をマスフローコントローラ購入費が占めてしまい、安価で使いやすい熱風ヒーターのコントローラを作る事はできない
そんな問題意識を持ちながら2014年の11月頃、出張先でフィンテック東京社の南部氏と雑談中に電磁弁をサイクル制御すれば安く流量制御ができるのではないかというアイデアが出た。これならば量産されて安価な温度調節器と通常の電磁弁の組み合わせで実現できる
その時はサイクルタイムとしては0.5~1秒間程度かな、と思っていた。なにしろその時点での認識では電磁弁の寿命は数千万回程度だと思っていたから。エアーの脈動はエアータンクと流体抵抗の平滑回路で対応できると考えた
帰社してから早速作ってみた。azbilの温調器は持っていたし電磁弁もあった。あとは有り合わせのSSRを組み合わせてバラック配線すればOKだ。エアーは電磁弁のサイクル制御、ヒーターのコントロールはしないで一定の電圧を加えておくのみ。 熱風温度センサーで温調器をコントロールして、目的の温度になるようにエアー流量をコントロールするというシステムだ
初期の実験風景 https://youtu.be/tL9k0LTYSTw
ひどいバラック実験装置だなぁ

やってみると期待通りに動作した。熱風温度はかなり正確に目標値にコントロールされる。これならばマスフローコントローラを使うのと差はない、とゆーか、このシステムはヒーターを含めた全体としてマスフローコントローラを形成している事になるのだから当然といえば当然。ヒーターに一定の電力を消費させておいて、その熱風温度を一定値にコントロールするという制御はエアーの質量流量を決定している事になる
質量流量F[L/min.]≒50×P[w]÷温度上昇[℃]
上記の関係なので、ヒーター電力Pと温度が決まれば流量も決定する
しかしいくつかの問題点もあった。
①サイクル制御周期が1秒間ではエアーの脈動が大きすぎる。100~200ccの
エアータンクで平滑するのは無理だ。これに対してはサイクル周期を0.1秒間
にした方が良さそうだった
②電磁弁の動作音が結構うるさい
③通常の熱風温度センサー位置では、最初の立ち上がり時に熱風温度がオー
バーシュートする
まず①の対策としてサイクル周期を0.1秒にするには電磁弁の寿命が問題になる。 そこで電磁弁を調査した結果、SMC社からSX10シリーズというのが発売されていた。
これは50億回の寿命があった。0.1秒のサイクル周期で使った場合、1年間フルに使って約3億回だから、50億回ならば約15年間の連続使用に耐えることになる。これで①の問題は解決した。尚、コストも定価ベースで¥2500ほどなので安い!また応答が驚異的に速い。毎秒1200回といったON-OFFにも対応できる(特殊ドライバを使った場合)
次の②の問題はかなり苦労したが、音の発生は電磁弁そのものの騒音はわずかであり、 大部分は電磁弁ONで噴出するエアーによる衝撃音だと分かった。そこで下図の様にエアータンクを設け、それの内部への吹出側に消音器を付ける事でほぼ解決した。音圧は52~55dB/m程度(簡易測定)だ。タンクは水道用の塩ビ管部品を使えば安価で音の封じ込め性能も良い。もし更に音圧を減らす必要が出たとしても2段消音にすれば解決するだろう
※追記2016/02/15
その後の実験でエアーの流れが急激に変化するから音が出る、というのは違う気がしてきた。エアーの流れの変化ではなく音波、それも衝撃波に近いものが電磁弁内部構造から発生していると思う。それが配管内のエアーを伝わって伝搬している。そのため音はエアー出口側だけでなく入口側にも伝搬している
現状の騒音対策でもエアー音にかき消される程度なので実用上問題ないとは思うが、更に対策をするには消音器をエアー入口側にも設けると大きく改善する
③のオーバーシュートに対しては、熱風ヒーターのセンサー位置を調節することで対策した。しかし完全な解決ではない。少なくなったと言うだけで解消はしていない。それにこれではこのコントローラには専用のヒーターが望ましい事になる。しかし一般品でも使えない事もないので、それでもいーか、という事でOKとした
このコントローラが特許を取得できるかどうかは微妙だと思っている。ある意味画期的だとは思っているが新規性が本当にあるのだろうかという疑問がある。しかし弁理士さんがたぶんOKだろうというので、とりあえず信用して特許は出願した。 出願だけで30万円もかかるのだから、ちょっと躊躇したが - - -
下図はこのコントローラの概要図である。新規性があるとすれば以下の2点の組み合わせだろう
①電磁弁のサイクル制御によるデジタル流量制御
②温度センサー付き熱風ヒーター自身を質量流量センサーとしても利用
製品コンセプト
目的 : マスフローコントローラ並のエアーコントロール機能を持つ熱風ヒーター用コントローラ を安価に供給する
ヒーター出力: フリー電圧 AC100v~250v 10A (100w~2kw程度のヒーターを想定)
エアー流量: エアー入口0.3MPa~0.5MPa程度の範囲で動作し、100L/min.程度流せる
※電磁弁2個内蔵タイプは200L/min.
温度設定範囲: ~常温~1200℃
エア流量制御: 高速電磁弁のサイクル制御 サイクルタイム 0.1秒
設計寿命: 連続運転で約15年間
拡張機能: 外部電磁弁と外部SSRの追加で大型熱風ヒーターにも対応可。同形式の電磁弁の並列運転。SSR用と電磁弁用出力端子を備える。SX-10電磁弁をマニホールドで10個並列に使えば1000L/min.も可能
配管の変更(エアータンクをバイパス)でパルスブローにも対応可能とする。パルスブロー方式は産業界でブローエア量を節約する手段として注目されている。本製品は熱風のパルスブローが可能ということで用途拡大が期待できそうに思う
価格目標: 定価12万円程度
2015/12/31
冬休みに入って久しぶりの作業再開だ。まず回路設計しなくてはならない。私は回路設計の専門家ではないので相当にあやしいとは思うが、とりあえず下記で試作することにする
2016/02/13
また久しぶりの再開だ。試作第一号機の実験風景の動画をアップ → 実験風景
このコントローラは2つの調節器を備える。左が熱風温度設定用、右がヒーターへの供給電圧設定器だ。電圧は一応安定化させている。このコントローラは熱風温度を設定し、そして供給電圧(=熱量)を設定することになる
熱量は100でそのヒーターにほぼフル電圧が加わり、数値を下げれば、ほぼその比率でヒーターへの供給電力が減る。熱風温度が一定ならば風量が減ることになる
まだ調整は不十分。オーバーシュートその他問題がいっぱい
イベント出力を使って異常表示、出力をするつもりだけど方法が分からず、回路的には貼付図の様に組んだが、まだ設定できてない
異常の表示/出力の条件は左の熱風温度温調器で、設定温度より熱風実測温度が高い状態が継続すると異常と判断させて出力を切りたい。この様な状況とは、左側の温調器が100%近くの出力をしても必要なエアー量を流しきれず熱風温度が下がらない状態だ。つまりエアー不足
2016/02/22
熱風温調器と電圧設定器とのPID値の特にPとIを非常に大きくしてゆっくり風量や電圧が変化するようにしたら、熱風ヒーターの熱風温度オーバーシュートはほぼ解消した(完全ではない)
このコントローラの制御(流量制御による熱風ヒーターの温調)が特に難しいのは熱風ヒーターの応答特性が特殊なためだ。エアーが極端に少ない領域では熱風温度センサー(熱風出口近く)に熱を運ぶキャリアが少ないので、発熱体の熱が十分に温度センサーに達せず低めの温度指示となる
それでも発熱体が蓄熱していくとだんだん温度センサーの温度も上がっていき、設定温度に近づいていく。 そうなると温調器がエアーを増やせという指示をだす。するとヒーターに貯えられていた熱がセンサーに移動し、 センサー温度が急激に上がる
すると温調器はエアーを更に増やせという指示をだす。そのため更に熱風温度測定値が必要以上に下がる
しかしこれはヒーターに蓄熱された熱によるものだから、やがて熱風温度は低下し始める。すると今度は温調器がエアーを減らせ、という指示をだす様になる。すると熱キャリアが減るので更に熱風温度測定値が下がる。すると更にエアーを減らせという指示を出して熱風温度が大きく下がる
これは最初の状態にもどった事になるので、 上記がくり返され熱風温度とエアー量が一種の振動を起こす。 振動が収束するのならまだよいが、 収束せずにずっとくり返す事がある
今回の改良でほぼ解消したとはいうものの、低流領域では小さな温度の振動が残る。 これを根本的に解消するには熱風温度センサーを発熱体に近づけるのが有効だ。 しかしこれには特別仕様の熱風ヒーターが必要となり望ましくはない
もう一つの方法はエアー流量の下限設定を出来るだけ高めにして、 エアーがあまり減少できなくしてしまうことだ。 これで温度や流量の振動は解消する。 ただしこのためにはユーザーの協力を必要とする
しかしこれは相当に低流量域での話しであり、通常の使用領域では問題ないだろう。 低流量で使われるユーザーのみに上記の対応をお願いするのは可能ではないかと思う
2016/02/27
SMC社のSX10シリーズは驚異的な応答速度(ONは0.45ms,OFFは0.4ms)と驚異的な長寿命(50億回以上)をもっている。これは寿命では従来の電磁弁の100倍以上にもなる。なぜこんな事が可能になったのか知りたくて分解してみた
すごくシンプルな構造に驚いた。従来の電磁弁の常識的構造からは想像できない画期的な構造だった。可動部分は薄い鉄板のみだ。弁構造にはバネもゴムも使われていない。薄い鉄片がフリーな状態で存在し、ONのときは電磁石で引き付けてエアーを通し、OFFのときはエアーの圧力で薄い鉄片を押さえてエアーを止める
弁構造の当り面にはゴム部品も使われていない。硬いプラスチック面に薄い鉄片がエアー圧で押さえられてエアーを止める構造の様だ。両者とも特に研磨などはされておらず、さほど高度な平面にも見えない。これで電磁弁として機能するのだから素晴らしい。これならば確かに消耗する部品は無く、50億回以上というのも納得だ。 コストも安くできるだろう。 この技術があればパイロット型電磁弁は淘汰されるのではないか。 直動型は空気圧がゼロに近くても動作するので存在理由はあるが - - -
ただしこの電磁弁に0.8MPaを加えてみたところ故障した。 OFFにしてもエアーは完全には止まらなくなった。おそらく圧力で鉄片かプラスチック部品がわずかに変形したのだろう。 部品強度に余裕が無い様なので、 この電磁弁は使用圧力範囲を厳密に守らなくてはならない
それにしてもSMC社の技術力はすばらしい
この製品があったからこそ、このコントローラも可能になった。感謝感謝でーす


関係ないけど にゃんでーす。なぜかにゃんは笑いません。でもまじめな顔してバカするからよけいにおもしろい。ねこって何を考えて生きてるんだろう。人には理解できないレベルなのかもしれない
このにゃんは最初はとてもふてぶてしくて度胸の座ったネコだと思っていた。しかし最近はなんて気の小さいネコなんだろうと感じる。それはそれでかわいいんだけどホステスはつとまらないよー
これも全く関係ないけど沖縄キャンプシュワブでのさんせっと
なんだかドラエモンっぽいぞー
昔から夕焼けが好きで、いろんな思い出がある。特に印象に残ってるのは高校受験で行った津山の旅館での夕焼け。 また電検の受験で島根県松江市の宍道湖で見た夕焼け。 高校時代、鳥取の海辺でキャンプしたときの夕焼け
なんだか人生の岐路みたいなしちゅえーしょんで見る夕焼けが特に印象的で記憶に残るね。だけど人生の岐路みたいな時はゆっくり鑑賞している余裕がない。だから余計に印象に残るんだろうな。またいつかゆっくりこの場所に夕焼けを見に行きたい、とその時は強く思うけれど、なかなか実現しない。でもたぶんそれでいいんだと思う。 昔読んだ桃源郷の物語(ちょっとこわめ)をおもいだす
end
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