2020-01-01 (Wed)✎
竹田城跡にて
兵庫県の中央やや北寄りにある朝子市という所に竹田城跡という観光スポットがあります。一度行ってみたかったのですが、過去2~3回チャレンジしてみたものの、あまりに混み合っていて駐車場までたどり着けず断念していました。しかし12月28日ともなれば皆忙しいから、たぶん空いているだろうと思い、行ってみました。すると予想通りすんなりと駐車場に入れました。
しかしここからが大変。駐車場から城跡まで約2.2kmを歩かなくてはならない。約0.8kmの所までならタクシーを使えば行ける。しかしタクシー利用はあまり意味がない。タクシーで来れる区間はさほど急坂でもなく、大して疲れない。本当に大変なのは残りの0.8kmだ。私は普段ほとんど運動をしないからかなりしんどかった。そして3日間ほどは筋肉痛になった。
雲海の中にそびえる竹田城跡(パンフ写真)。我々観光客がこの様な雲海を直接目にする事は容易ではない。たぶん無理です。
登山道の途中にあった「落ちない岩」。落ちそうで落ちない不思議な岩、という事で、最近では受験生が合格祈願に訪れるらしい。岩の至る所にコインが置いてある。
古城跡だなー。諸行無常の思いに浸る? 枯れ岩や、兵(つわもの)どもが夢の跡ー
これらの石垣に使われた石は、山頂付近の岩を切り出して使用したらしい。そりゃそうだろう。こんなのを麓から運び上げるのは大変だ。
計算問題:山頂から岩を落とせば、どのくらいの破壊エネルギーになるか?
①戦国時代の山城の武器は岩を転がり落とす、という方法があったと思うが100mの高低差で岩を転がり落とすと、どのくらいの破壊力か
岩のサイズを50cm×50cm×50cmとすると密度2.5g/m^3の岩なら約300kg
すると100m転がり落ちて得るエネルギーは
P≒MGh=300kg×9.8m/s^2×100m≒300kJ
TNT火薬1g=4184J だからTNT火薬72gに相当する。途中での摩擦ロスを考えると、せいぜい50g相当か?案外大した破壊力ではない。
②300kgの石を高低差100mの所に持ち上げるには、どの程度の人の力が必要か
先の問題の通り、石を持ち上げるに必要なエネルギーは約300kJ。人の力は何ワット相当か?というのは難しい。瞬間パワーと持続的パワーは違うし。エネルギー保存則から考えれば出力は消費エネルギー以上にはならないので、最大消費エネルギーを推定すると1日で3500キロカロリー程度だろう。するとJ(ジュール)換算で15MJ/日 程度だろう。ここで人体の力学的仕事に対する変換効率を25%と仮定すれば、出力は3.8MJ/日。これをワットに換算すると44w。労働時間10時間として出せるエネルギーは約1.6MJ。すると効率のよい方法を工夫すれば1日に最大5個程度は持ち上げられる事になる。ほんとかなー。計算間違いがある?
山頂に石を運ぶ効率のよい搬送方法を当時の工業力,知見で考えてみる。コロは山地では使えないだろう。台車も常に力を加えておかねばならないので、疲れそう。特に人の力学的特性と、この台車の特性があわない。勾配1/8(7.1度)とすれば必要な引っ張り力はSin7.1°×300kgf=37kgf。これは1人で長時間は無理だ。そのため最低2人は必要だろう。(牛などに引っ張らせれば問題ないが)
当時の工業力でも巻き上げ機と300kgfに耐えるロープ又はクサリは製造できただろう。山頂から巻き上げ機を使って直線斜面を真っ直ぐに引き上げるのが効率的ではないかと思う。もっと効率よくするには巻き上げ機の軸を回って下りの台車を用意し、それに不要な土,水などを300kgほど積む。すると上り台車と下り台車で重量がバランスするので、ほとんど労力を要せずに石を引き上げる事ができる。
下では降りてきた台車の土を下ろし、代わりに次の石を乗せる。上では運ばれてきた石を下ろし、代わりに300kg分の土などを乗せて、巻き上げ機を逆回転させ、次の石を運び上げる。この方法が一番かな?この方法なら先のエネルギー保存則に縛られる事なく、1人当たり1日数十個,数百個の石を運ぶ事も可能だろう。
大量の石を持ち上げる場合にはバランスに使う土の確保,始末に困るかもしれない。その場合、ため池を山頂に作り雨水をためておいて、それを使えれば一番よい。この方法で山頂に大量の石を蓄積しておけば、強力な武器になる。1万個あればTNT火薬500kg相当にはなるだろう。その場合、石が転がっていきにくい地形部分が死角になるので、地形改造も必要になる。また投石機を組み合わせる事も死角を無くす上で有効だ。山頂からの投石は威力が非常に大きいだろう。
スポンサーサイト