2021-01-29 (Fri)✎
結合エネルギーを放出すると質量が減少し、固有時間が遅れる。この重力結合ではよく知られた現象のメカニズムを合理的に説明する手段として、私の主張としては「4次元体積が保存される」という考えを取り入れたい。
例えばAさんがロープで繋がれ、ブラックホールの事象の地平近く(達してない)まで降りるとする。そして大きな重力結合エネルギーを放出すると、3次元空間における質量エネルギー保存則によりAさんの慣性質量は大きく減少する。次に更に降ろして事象の地平にまで達するとAさんの慣性質量はゼロになる。そして慣性質量の減少に伴い時間も遅れていき、事象の地平に達するとAさんの時間は止まったように観測される。
この現象を合理的に説明するには3次元空間での質量エネルギー保存則に加え、4次元時空間では物体の4次元体積(慣性質量≒x,y,zと時間 t の積)が保存される、とすれば全ての事象がうまく説明できる。
ここではこれらの現象を4次元幾何学的に説明したい。



我々の認識している空間は3次元空間でありx・y・z方向の広がりを持っている。さらに我々が何となく認識できる、もう一つの次元らしきものは時間軸だろう。しかし我々は時間軸を見渡す事はできない。我々が直接見渡す事が出来るのは3次元空間の広がりだけである。だから我々は3次元空間に生きている。
4次元時空間での物体の形状x・y・z・tの存在感、特に時間軸tの広がりについては、我々は3次元空間を記憶または記録して積み重ねることでのみ認識できる。未来の形状については想像するだけである。つまり4次元時空間での4次元物体は実在しないが、ここでは時間軸を見渡せる架空の存在を仮定して質量消失現象を合理的に説明したい。
例えばAさんという80年間生きた人の4次元時空間での姿は x、y、z の大きさでt軸の長さが80年の塊である。そして4次元時空間での物体の時間軸断面が我々の認識する3次元空間での姿である。生まれて1年目の断面を見れば赤ちゃんの立体像、80年後の断面は亡くなる寸前の老人の立体像となる。
もちろんAさんの4次元時空での姿は単純な固まりではなく、さまざまな食料等が合流し、排泄で分離し、最後には火葬で分子レベルまで分解して飛散する。それでもそれぞれのパーツの「慣性質量×時間軸の長さ」(M・t)の合計は保存される(一定である)
我々の認識する3次元空間はx・y・zの広がりをもっているが、その広がりは物質においては慣性質量と比例関係にあり、密度が一定ならこれが慣性質量となる。タイトルでは分かりやすくするために「4次元体積の保存則」としたが、3次元体積は実際には密度が変化しうるので、正確には保存されるのは慣性質量の事であり、慣性質量と時間軸長さの積が一定である(保存される)というのが、この主張の正しい解釈である。
➋ 3次元空間での質量エネルギー保存則
3次元空間では慣性質量は変化しうる。それは主に結合エネルギーの放出が大きい場合などに確認されている。しかしエネルギーは質量と同じであり、質量が減少したら必ず減少した質量と換算値が等しいエネルギーが発生している。つまり質量とエネルギーを合わせた総量は変化しない。⇒質量エネルギー保存則 換算式 E=mc^2,m=E/c^2
慣性質量がエネルギーと等価である事の私の証明 ⇒ ダークマターの存在証明 の中にあります。
➌ 4次元時空間での「質量・時間積の保存則」
別途提案しているダークマターの存在証明,ダークマターのふるまい,宇宙誕生のストーリ について、これらを合理的に成立させるためには4次元時空での慣性質量・時間積の保存則(M・t=一定)が有るとすれば、全て合理的に説明できる。
タイトルの様に「4次元体積(x・y・z・t) が保存される」とした方がイメージしやすいが、密度の変化が有り得るので、やはり正確には慣性質量・時間積が保存される(M・t=一定)とした方が正確だ。
つまり4次元時空間では「慣性質量×時間軸の長さ」の値が一定になるという事である。この提案は物理常識的に問題無いと判断している。そしてそれにより現実の現象をより良く理解できる。
何らかの原因で3次元空間での慣性質量が減少すれば、時間軸がその分伸びて4次元体積保存則(慣性質量・時間積の保存則)を満足させる。例えば慣性質量が1/2になれば時間軸が2倍に伸びる。すると時間の進み方は1/2に遅くなったように観測される。
➍ 上記2つの保存則から導かれる現象
1. 結合エネルギーの放出と慣性質量の減少,時間遅れの説明
物体が結合エネルギーを放出すると、3次元空間での質量エネルギー保存則により慣性質量が減少する(既知の事実)
すると4次元時空での「慣性質量・時間積の保存則」により、時間軸が伸びる事で保存則を満足する。つまり外部観測者から見て慣性質量が減少した比率で時間が遅れる(重力場においては既知の事実)
例えばAさんが大質量の星に降り立ち、結合エネルギーを放出して慣性質量が半分になったとする。すると4次元時空での「慣性質量・時間積の保存則」によりAさんの4次元形状は時間軸方向に2倍に伸びる。つまりAさんの寿命が2倍になったように外部観測者(この場合、宇宙空間にいる観測者)には観測される。
4次元時空での過去の形状は確定しているので変化することは無い。しかし未来については、いくらでも変化できる。
【 図ー1】3次元空間での質量エネルギー保存則と4次元時空での慣性質量・時間積の保存則
2. 高速移動体の時間遅れ,慣性質量増加の説明
高速移動物体は慣性質量が増加し、時間が遅れる。この現象の4次元時空間における幾何学的説明は図-2の様になる。
物体が時間軸以外の方向に高速移動すると、4次元時空間での形状は図-2の様に斜めな形になる。このとき、4次元時空間での質量×時間軸の保存則により斜めになった事で距離が伸びた分だけ断面積つまり慣性質量が減る。
しかし3次元空間での慣性質量は4次元物体の時間軸断面になるので、高速移動して斜めになって減少した慣性質量も時間軸断面は斜め断面になるので断面積(質量)が増え、結果的には差し引き変化しない。
ただし加速するために加えたエネルギー分だけ物体の慣性質量は増えているので、高速移動物体の3次元空間での慣性質量は加えたエネルギー分だけ大きく観測される。
この物体を外部観測者(静止観測者)から見ると斜め移動した分だけ時間軸が伸びて観測されるので、時間が遅れている様に観測される。
【 図ー2】高速移動物体の挙動を4次元時空間での形状変化により説明する
➎ 総括
「1.結合エネルギーの放出と慣性質量の減少,時間遅れの説明」については比較的説得力があるのではないかと思っている。結合エネルギーを放出すれば慣性質量が減少するのは間違いないし、その現象を時間軸が伸びるからとするのも合理的だ。これは相対性理論の結論と同じはず。ただ相対性理論では重力場においては この通りだと思うが、電気力等による結合エネルギー放出については時間遅れについて触れられていない様に思う。
しかしどちらも同じ3次元空間での質量が減るという現象に対しては、同じメカニズムで同じ結果をもたらすとする方が合理的だ。どのような原因であれ質量が減少すれば時間軸が伸びる事で4次元体積保存則を満足する、とした方が合理的だろう。後は実験で確認ができるかどうか?
「2.高速移動体の時間遅れ,慣性質量増加の説明」については、説得力が不十分だとは思う。 図ー2. では時間軸断面を求めるのに垂直線で図示しているが、これでは垂直移動も可能になり、速度∞を許してしまう。実際には最高速度は光速度cなので、物体の斜め移動時の角度θmは光速移動時の角度(θc)以上にはならない。特殊相対論の結論と整合させるには、物体の速度が(c)に達した時には時間が停止し慣性質量が無限大にならなくてはならない。つまり時間軸断面は光速移動時の角度となる。
この条件を満足させるためには物体が高速移動した時の基本時間軸との角度を(θm)とし、光速度の場合の角度を(θc)とすれば時間軸の伸びは 1/cosθ 倍になる、とする。ここでθ=(θm/θc) ×90° 。これで少なくとも極限状態での結論は相対性理論によるものと一致する
こういういい加減なことを平気で結論する

また本論では時間軸を実在するものの様にして扱ってきたが、実際の空間に時間軸というものは存在しないだろう。物体の時間軸にそった過去形状は記憶や記録の積み重ねによってのみ認識される。未来形状は過去の状態からの継続性と慣性質量・時間積の保存則である程度推定できるだけだ。
本論のような4次元時空間での物体の存在は、理解しがたい事象を理解する上での仮想モデルにすぎない。
番外編
4次元時空におけるエネルギーとは、どんな存在だろう。物質は前記した4次元体積保存則に従う存在だ。これに対してエネルギーはどのような存在なのか。エネルギーが現れるのは物質の時間軸が伸びた場合にのみ現れる様に見える。
物質は時間軸が伸びる事により慣性質量が変化できるが、エネルギーは時間軸の影響は受けない。
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